米国株の場合
米国株の売却益(キャピタルゲイン)については、米国で課税されません。一方で配当金に関しては米国で10%課税されます。加えて日本でも20.315%課税されてしまいます。
つまり、1000円の配当金を米国株から受け取った場合、まず、米国で10%課税されるので、900円になります。
この900円に20.315%の課税(182円、端数切捨て)がされるので、最終的には718円受け取ることになります。全体として約28%課税されてしまうわけです。二重課税といわれています。これを回避する方法として外国税額控除というものがあります。
この外国税額控除とは二重課税を調整するための制度で、外国で収めた税金を、その年の所得税から差し引くことができるものです。但し、納める所得税があまりない方はそれほど還付されないかもしれません。
外国税額控除について詳しくは国税局のページを見てください。
外国税額控除の計算式
限度額の計算
まずは限度額を計算してみたいと思います。
所得税の控除限度額=①その年分の所得税額×(②その年分の調整国外所得金額/③その年分の所得総額)
それでは、具体的に計算してみたいと思います。
仮に給与に掛かる所得税が80万円だったとします。そして、株の売却益や配当金に掛かる所得税が10万だったとします。そうすると、「①その年分の所得税額」は90万円となります。
次に②その年分の調整外国所得金額として、米国株からの配当金が10万円で、③その年分の所得総額が1000万円とします。
所得税の控除限度額=90万円*(10万円/1000万円)=9000円ということになります。
なお、所得税額とは年収のことではありません。年収から基礎控除や給与所得控除などを差し引いたものになります。
具体的にいくら戻ってくるか
二重課税された金額と仮に日本だけで課税された場合の差額分だけ戻ってくることになります。上の例と同様に米国で10万円の配当を受け取った場合を考えてみます。
1)二重課税された場合
税額:10万円*10%(米国の課税)*20.315%(日本の課税)=28,283円
2)日本だけで課税された場合
税額:10万円*20.315=20,315円
そうすると、1)と2)との差額が7968円で、控除限度額9000円の範囲内なので、7968円が還付の対象となります。
なお、分離課税を選択した場合でも外国税額控除は受けられるようです。
損益通算の対象
米国株の売却益は、その利益分を損益通算できますが、配当金の場合には10%の課税後の金額が損益通算の対象となります。
つまり、米国株の配当金が10万円ある場合、現地で1万円課税されるので、9万円が損益通算の対象となります。
損失の繰越控除
損益通算を行った結果、損失がある場合はその後3年間は繰延控除ができます。次の年に利益が出た場合、前年の損失と通算することができます。したがって、私は損失は積極的に現実化させるようにしています。今年もあと50万円ほど損失を確定させようと思っています(一番いいのは、損失がないことでしょうが、それはなかなか難しいですからね。
まとめ
今までの話を総合すると、
日本株の譲渡損益+日本株の配当金+米国株の譲渡損益+米国株の配当金*90%≒0円になるように調整し、二重課税分は確定申告により取り戻すというのが、税金の繰延として一番良いのではないかと感じております。